その他コース 受講記

I.O.R. 開業医のための口腔外科総合セミナー 受講記

ともよせ歯科医院 友寄 泰樹

2020年2月24日,新型コロナウィルスの感染拡大が騒がれるなか,I.O.R.開業医のための口腔外科総合セミナーが開催され,私はプログラムチェアマンという立場で参加させていただきました.開催の可否については事前に幹部会で検討され,中心メンバーで相談した結果,できる限りの感染予防対策を行った上で開催することになりました.講師は,口腔外科の第一線でご活躍中の,3名の先生方で,厳しい状況のなか快く引き受けてくださり,前日の懇親会でも熱い思いを語ってくださいました.セミナー会場は御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターで,事前にいくらかキャンセルがあり,当日キャンセルもある程度覚悟しておりましたが,歯科衛生士を含め,多数の皆様にご参加いただきました.

セミナーの午前の部は,I.O.R.最高顧問で東北大学大学院歯学研究科顎顔面・口腔外科学分野の高橋哲教授のご講演でした.高橋教授には,出版したばかりの「薬を飲んでいる患者への歯科治療:クインテッセンス出版」の内容の一部も含め,口腔外科診断の基本(問診,視診,触診など),有病者への歯科治療,口腔粘膜疾患,口腔癌の診断と再建,医科との連携,MRONJなどについて,ご講演いただきました.豊富な画像資料とともに,大学の学生講義で話されるような基本的な知識から,最新の情報まで,幅広い内容を丁寧にご説明いただきました.

昼食をはさみ,午後は横浜総合病院歯科口腔外科部長の今村栄作先生のご講演から始まりました.今村先生には,外傷,顎関節脱臼,補綴前外科処置,歯科治療偶発症,唾液腺疾患,歯性感染症,周術期口腔ケアなどについてご講演いただきました.豊富な臨床経験を動画を交えながらわかりやすくご説明いただき,特に動脈奇形の症例で噴き出すような出血のあった動画は衝撃的でした.

最後は,野阪口腔外科クリニックの野阪泰弘先生のご講演でした.野阪先生には,上顎洞の解剖と疾患,上顎洞への迷入,サイナスリフトと骨補填材などについてご講演いただきました.豊富なCT画像や動画を交えながら,上顎洞の基本的知識や,上顎洞関連の偶発症や対処法,骨補填材の特徴など,丁寧にご説明いただきました.

講演後には,演者の先生方に対する質疑応答を含めたクロージングセッションが行われました.会場からは,ソケットリフトの適応や,開業医における口腔癌診断(蛍光観察装置の位置づけ)などについての質問がありました.また,大学病院,総合病院,開業口腔外科医という三者の異なる立場から,開業医や医科との連携についてのご意見や,比較的多く参加していた歯科衛生士へのメッセージもいただき,閉会となりました.

セミナー後のアンケートの結果では,概ね高評価で,勉強になった,興味深い内容だった,わかりやすかったなどのご感想が多くみられました.中には,簡単すぎたという先生や,予定されていた高橋教授の小外科手術の話が聞きたかったというご意見もありました.今回講師の先生方にお願いした内容が多すぎた面があり,予定していた一部の内容が省略される結果となりました.この場を借りてお詫び申し上げます.著名な人気講師である3名の先生方による貴重な講演会を無事開催できて良かったですし,これを機会により多くの方々が口腔外科を身近に感じていただければ幸いです.

最後に,お忙しい中ご講演いただいた講師の先生方,企画や準備の多くを担っていただいた竹下先生とスタッフの方々,司会の又吉先生,座長の児玉先生,準備を手伝っていただいた定村先生,協賛業者の方々,その他参加,協力していただいた多くの皆様に心より感謝申し上げます.


Dentsply Sirona Academy and Clinical training course in Germany and Italy.

臣歯科診療所 平島将臣

2019年のGW,5/2に出発したI.O.R.ドイツ・イタリア研修. 個人的には竹下先生,墨先生のお2人とご一緒させて頂く海外研修が久々だったため凄く楽しみにしていたものでした.
初日,ドイツ・フランクフルト空港に降り立った私達はデンツプライシロナの本社がある街・ベンスハイムに向かいました. ホテルにチェックインを済ませ,ヘッペンハイムでのウェルカムパーティーでは窓から覗く旧市街の可愛らしい建物や郷土の美味しい料理やワインを楽しみながら,北本社長はじめデンツプライシロナの方々と交流を深めることが出来ました.

2日目はデンツプライシロナの本社・工場見学とアストラテックインプラントの開発メンバーらによるセミナーという内容でした.セミナーではまだ世に出ていない新しいコンセプトのアストラテックインプラントシステム・セレックプライムスキャンなどの説明とデモンストレーションを受けました.日本国内ではまだ、発表できない内容( 一年近く経つと,話していい事・ダメな事が何だったのか全然覚えていないため説明は控えておきます)もあり,実習も含めた濃い内容のものでした.新しいインプラントシステムでは,自分が以前より感じていたポイント等も改善されるとの事だったので,期待が膨らんだことを覚えています. 他にも,大きな会社で守られている事や開発されている物の作成行程を目の当たりにする事で,自分の仕事における問題点や可能性などにおいても考えさせられる事が沢山ありました. デンツプライ本社内のレストランにて昼食を頂いたのち,ドイツを後にしてイタリア・ミラノに移動して廉隅先生ファミリー、通訳の山田峻太朗先生と合流し,みんなで食事をとりました.

3日目は朝からDr.マルコ・トーヤのオフィスにてオペの見学と講義がありました.まずはクリニックのすばらしさに驚かされましたが,それにもまして実際に3ケースの見学をさせていただき勉強になる事が沢山ありました.また,EMSのGuided Biofilm Therapy(GBT)というエアフロー,ペリオフロー,ピエゾン 技術を用いた,プロによる歯面清掃のバイオフィルム除去ソリューションについて講義の後にクイズがあり,賞品として刺繍入りのキャップを貰えた事が良い記念になりました. 夜はミラノの歴史を感じるガレリア界隈でオペを振り返りながら楽しく夕食をとり,イタリアで初となるスターバックスのお店に行ってお土産を買い漁ったのも,とても楽しい思い出となりました.

翌日は朝からみんなでレオナルドダヴィンチの「最後の晩餐」の壁画を観に行き,その後二手に分かれて観光しました. 自分は相方と一緒に墨先生と林田先生とフェラーリ博物館見学に同行. なかなかお目にかかれない貴重なフェラーリの名車達を観たあと,墨先生の運転でフェラーリの試乗も出来ました. その後はミラノに戻って,みんな揃っての最後の晩餐までと終始楽しい1日でした. ここで一旦I.O.R.の研修旅行は締めを迎え,翌日から自分らに加え,同じ熊本の竹内先生とフィレンツェに向かいました.

フィレンツェでは観光と買い物に時間を費やし沢山の感動を味わいましたが,竹内先生がフィレンツェの景色に感動して涙していたのが1番印象的でした. 総じてとにかく学びの多い楽しい旅でした. そして,自分が竹下先生と行った海外研修では初めてのトラブルのない研修でもありました. 今回の研修では自分も含め,竹下先生や廉隅先生達のご家族までご一緒することができ,I.O.R.のチームの一員として今までになく親睦を深める事が出来たような気がします. 自分が最初にI.O.R.で行ったベルギー研修もそうですが,学会参加も含め,海外研修は毎度同行したみんなの距離が本当に縮まる気がします.そうなる事で得られる情報等もまた勉強になりますし,色んなハプニングも含めていい思い出に昇華出来るので,また参加したいですし,まだ海外研修未体験のI.O.R.の会員の先生達には是非ともご参加頂きたいと思います.

最後になりますが,研修をサポートしてくださりました通訳の先生方や,デンツプライシロナの方々らに感謝を申し上げ,本研修の受講記とさせていただきます.


第2回 I.O.R. clinician's humor meetingに参加して

礒部歯科医院 礒部祐輔

今回,私は相談する立場ではなくI.O.R. clinician's meetingに参加させていただきました.3名の先生がケースを出されましたが,どの症例も普段臨床で出会う可能性のあるケースであり自分が担当医になった気持ちで拝見しました.
このような症例検討や症例相談では,難しいからこそ相談しているため,すぐに答えが出るわけではないと思いますが,参加された先生とのディスカッションや先生個人の意見を聴講することで,自分では気付いていない所や新たな問題点を見つけることができました.

これは大人数ではなく密度の濃い状態であるからこそ可能なことだと思います.
経験豊富な先生の解決策などを聞くことができるのはとてもありがたいことですし,そういう切り口もあったのか!と思わせていただきました.過去に同じような症例を治療したときの注意点や患者さんへの説明の方法,トラブル回避術など,2時間ではまるで収まらない豪華な内容で,初めて聞く話もあり,普段のセミナーでは出ないような非常に興味深い時間でした.

今回のmeetingの話題は,インプラントを含めた治療計画,根管治療,メタルコア除去の必要性,インプラントの本数,位置,補填材,抜歯即時など多岐に渡りました.現時点でのグローバルスタンダードなこともお話しいただきました.自分の臨床における疑問解決のヒントとなり,今は困っていなくても将来役に立つようなことがこのmeeting にはあるのではないかと感じました. 榊原先生,小久保先生,発表された先生,参加された先生ありがとうございました.


第1回Get Learning Digital 受講記

あお歯科 青 藍一郎

Digital Workflow in Dentistry という言葉が歯科界で一般的となり,日々の臨床でもDigital Dentistryを応用することが当たり前になってきています.しかし,新しい製品や情報,手法がどんどん誕生している現状では,付いていくのがやっと, 本当にこんな感じでやっていて大丈夫?と疑問を持つことが多々あります.
そのような中,今回I.O.R.におけるDigital Workers in Dentistry が集ったのが第1回Get Learning Digitalでした.お互いの臨床応用や最新知見について,和気藹々と情報交換を行うことができたことは,大変有意義で勉強になりました.

現在のDentsplySironaユーザーは,旧Dentsplyのインプラントユーザーのような,外科ごりごりの主に光学印象等CADにDigital Workflowを応用する先生と,旧Sirona セレックCADCAMユーザーのような「インレー,アンレーからクラウン,もっと複雑な補綴物も作りたいと思っちゃうようなマニアックな先生」が共存しています.私自身は,保存修復を中心にセレックを使用してきましたが,インプラント補綴やインプラント治療へのDigital Workflowの応用は未経験でした.そのため,臨床経験豊富な先生方や歯科技工士の方に,実際使用する上での応用方法や勘所を直接聞くことができたことは,非常によい経験になりました.

インプラント補綴を目的にセレックなどを導入したが,今後保存修復や歯冠補綴にもCADCAMを応用していきたいという先生,今後セレックなどの機器を一から導入したいと考えている先生に,Get Learning Digitalへの参加を強くお勧めします.インレー即日修復からインプラント,矯正治療と,応用範囲が広がっているDigital Dentistryについて,なんでも聞けるようなアットホームな雰囲気の中で,色々な先生が情報交換を行い,様々な化学反応が起きたら面白いなぁと第2回を楽しみにしております.

このような会を催すことができるI.O.R.に参加させて頂いていることに大変幸せを感じるとともに,このような会を企画してくださった墨先生,I.O.R.の先輩先生方に感謝いたします.今後ともご指導のほど,よろしくお願い致します.


第1回 I.O.R. clinician's humor meeting 受講記

歯科あべクリニック 阿部貴充

このたび、第1回「Clinician's humor meeting」に参加させていただきました。日々、インプラントの臨床をしていると、ふと何かしらの疑問を持ったり、不安を感じることは多いと思います。
「この症例はどのように埋入すればいいの?」「これで骨は足りているの?」「このインプラントの予後は大丈夫?」などなど。そのようなとき、今まで私は知り合いの先生にアドバイスをいただいたり、専門書籍を調べたりしておりました。

今回参加させていただいたClinician's humor meetingは、そのような疑問点や不安点をざっくばらんにお話できる会です。 お堅い感じの会ではなく、わからないことがその場で聞けるアットホームな会でした。
経験豊富な先生方のご参加も多いので、その先生方の口腔内の見方やインプラントに対する考え方を聞くことができましたし、 また経験則からのリアルなご意見も聞けて、とても有意義な時間となりました。

本当にあっという間の2時間でした。
榊原先生、小久保先生はじめ、多くの先生方の貴重なご意見をありがとうございました。
今後の臨床に生かして参りたいと思います。


第1回 I.O.R. clinician's humor meeting 受講記

王子の森 ちのデンタルクリニック 岡田 千のぶ

今知らないこと出来ないこと、今日ぶつかっている壁は,今の自身にとっては悔しいことですが,恥ずべきことではありません.解決に向けて正しい舵取りと前向きな努力が出来れば,明日からの臨床に必ず反映できるからです.
I.O.R.はずっと,素直に相談し解決できる場であり続けてくれていますが,このユーモアミーティングは最も身近な新しい舵取りのカタチであることを確信します.

初回は3名の先生の症例について熱い議論が交わされました.
インプラントを含む全顎治療の臨床経験が少ない私はついていけるか不安で,ハイレベルと感じる話題もありました.しかし,はじめにインプラントありき,ではない治療計画から皆活発に意見を交換することが出来ました.先生方の経験に基づく長期予後の可能性・多様性のお話に興味は尽きず,様々な段階にある先生方各々の臨床に沿うヒントとなったのではないかと思います.
経験豊富な小久保先生榊原先生が明日の扉を開いてくれる,温かな会でした.ありがとうございました!


「Digital Solutionの全て - Intraoral Scanner か らFinal Restoration まで - 」を受講して

岐阜県羽島市 かわむら歯科クリニック 河村 亮

今や私たちの生活はデジタル化無くしては営むことが出来なくなっている.
歯科界に於いても例外ではなく,種々のデジタル機器が多くのメーカーから発売されている.以前は手書きで記入していたカルテが電子カルテに代わり,現像→定着→水洗→乾燥の工程を辿ったX線画像はイメージングプレートを介したデジタル式に代わった.デジタル化のメリットは工程のシンプル化・作業時間の短縮・情報の共有・収納空間の確保・検索の容易さ・データが劣化しにくい等,数え出したらきりがない. また“デジタル”という言葉には不思議な魅力があり,何か他人よりも最先端を行っているような錯覚を覚える.デジタルを駆使することが格好良く見えるのである.

では補綴物の印象はどうだろう?未だに当院では寒天・アルジネートを主とした連合印象により,印象採得を行っている.過去にイントラオーラルスキャナーの導入を試みたことがある.当時悪戦苦闘しながら石膏模型をスキャンし,マージンを設定し,形態や咬合関係・隣在歯とのコンタクト,セメントスペースなどの設定を行ってCAMから出て来た補綴物が支台歯の上でくるくる回転するのを見て二の足を踏んだ.私の腕の未熟さ,知識の無さが一番の原因ではあるが,その時に強く印象に残ったのはデジタルなのに逆に作業が複雑化した気がしたことだった.
それから数年経ち,今では色々な専門誌でスキャナーを用いた症例を見るようになった.本当にこれからの歯科治療においてイントラオーラルスキャナーは必要なのか?

2018年6 月3 日(日),アキバプラザにて「Digital Solutionの全て」と題してデジタルデンティストリーの先駆者である4人の著名な先生方による貴重なお話を聞かせて頂く事により,その疑問に対する解決の糸口が見えてきた.
まずトップバッターとして榊原亨先生が「イントラオーラル・スキャナーに対する疑問点」と題して,歯科医師が導入時に直面するであろう臨床における問題点や疑問点を挙げ,のちの演者の講演に興味をつないだ.千葉豊和先生より「デジタルデンティストリーの可能性」と題して現在取り組んでいることを,症例を通じてご講演いただいた.流石に日本のデジタルデンティストリーの第一人者だけあり,使用する機材の豊富さからメーカー主導のセミナーでは聞けない話のオンパレードで,デジタルに関して知識のない私はとにかく話の断片だけでも聞き逃さないようにするので精一杯だった. 中でもイントラオーラルスキャナーで得られたデータを単に印象として使用するだけでなく,カウンセリングツールとしての役割も担う術前のバーチャルシュミレーションに使用する手法には非常に関心を抱いた.

お昼休憩を挟み,武末秀剛先生より「CEREC AC Omnicamを用いた日常臨床の可能性」と題し,一つのことに取り組み続けて来られた結果をご講演いただいた.AstraTechインプラントを使用する身としては,とにかくデンツプライの機器でのソリューションの統一化を考えるわけで,自身のインプラント臨床の行く末を具体的に考えさせられた.最後に,荒井昌海先生より「IOSからFINALまでのDigital Solution」と題して,私のような初心者にも分かるようデジタルについて一からお話をしていただいた.工業界での最先端の技術の紹介を聞き,改めて日常生活の中のデジタルを再認識することができた.

4名の演者が異口同音に「イントラオーラルスキャナーを使用する目的」と「精度と確度」について話していたのが印象的で,それを自分なりに咀嚼し理解することがデジタルデンティストリーを理解することなのではないかと考えた.講演の合間,イントラオーラルスキャナーの実機を触る機会があり,演者の言わんとすることを肌で感じようと試みたが,そんな付け焼刃では本質が分かるはずもなく,折に触れ実機でのデモンストレーションに臨みたいと思った.
スキャナーは使い易く,読み込みも導入を考えた以前と比べて非常にスピーディーであり,今のスキャナーはここまで来ているのかと純粋に驚いた.以前の経験より殻に閉じこもっていた自分がどれだけ鎖国的であったか思い知らされ,完全に今のデジタル化の流れに取り残されていると感じた1日となった.

新しい事(物)の導入を始める一歩の勇気が,なかなか踏み出せずにいた私の背中を力強く押してもらった様に思う. 決して最新だから最善であるとは言えないが歯科治療に関わる全ての人に恩恵があると言えるのではないか.
今後,益々デジタルテクノロジーが進歩していくことへの期待にワクワクが止まらない.


WORLD SUMMIT TOUR 2018 .上海. に参加して

かなまる歯科クリニック 金丸 智士

2018年5月18日.5月20日の日程で,上海にてWORLD SUMMIT TOUR 2018が開催されました.I.O.R.からは3名もの先生が発表されるとのことで私も勉強させていただきたく参加致しました.海外研修はとても刺激になるので楽しみでいっぱいでした. 未熟ではありますが受講記を書かせていただく事になりましたので,ご報告させていただきます.

初日,私と三隅先生は21時ごろ上海の浦東空港に降り立ちました.入国審査を済ませホテルへ向かおうとしたのですが,早速言葉の壁にぶつかりました.日本語はもちろん,英語もほとんど通じない!あらかじめメモしておいた中国語を見せてなんとかタクシーらしき乗り物に乗車.広いワゴン車に2人で詰めて乗りました.2人で360元.その時は高いのか安いのか全くわかりませんでしたが,のちにやられたと判明!海外の洗礼を早速受ける形のスタートとなりました.
なんとかWSTの会場近くのホテルにチェックインして,先に到着されていた先生方とも合流し,ほっとしながら色々お話を聞かせていただきました.

2日目.午前中に東北大学顎顔面口腔外科学分野 高橋哲教授がメイン会場に御登壇され,骨造成についての講演を聞かせていただきました.威風堂々たるそのお姿に,深い感銘を受けました.
その後,ポスター発表までの間にランチをいただき,僅かな時間を使って観光も楽しみました.
古き良き中国といった雰囲気を味わう街並みを堪能することができ,日本への土産物を購入したりして,充実した時間を過ごすことができました.

会場へ戻り,メインであるポスター発表へ.
今回I.O.R.からは3 名の先生方が発表を用意されていました.
墨先生:The new solution using Atlantis with Omnicamオムニカムを使ったアトランティスの新しい展望について.今回のポスター発表の中でもアトランティスアバットメントに関しての発表は少なく,その中で墨先生は新しい展望について発表されていて,一際目を引くポスター発表だったのではないかと強く感じました.
三隅先生:Influence of CAD/CAM abutment on implantabutment interfaceインターナルのインプラントに対してのジルコニアアバットメントの破折について.ジルコニアアバットメントの食い込みに関しての考察をしっかり発表され非常に勉強になりました.三隅先生は流暢な英語での質疑応答で,多くの質問者とコミュニケーションを取っておられました.
藤田先生:Misfit of a superstructure after abutment usage and refastening on an internal slip-joint implantインプラントにアバットメントが食い込んで位置関係に誤差が生じたことについて.食い込みによる誤差の研究に関する研究・考察内容は非常に勉強になりました.

3名の先生の発表はどれも高いレベルで,世界にI.O.R.イズムを伝えることが出来たと感じました.いつか自分も…と思わずにはいられない,刺激満載のポスター発表でした.
夜は寺田先生に手配していただいた中華料理のお店で高橋教授を囲んで皆で会食となりました.北京ダックをはじめとした本場の中華料理と中国酒を堪能しつつ,WSTの振り返りなどで盛り上がり,楽しい時間を過ごすことができました.
2泊3日の上海研修では色々な体験ができとても有意義なものとなりました.通常の研修とは異なり,参加メンバー同士で濃密な時間を過ごす中で,普段聞けないような貴重なお話を拝聴する機会を得,プライベートな相談にも乗っていただくことが出来ました.今後は,必ず今回の経験を生かして,臨床もプライベートも充実させていきたいと思います.

今回は2回目の海外研修でした.海外研修では新たな勉強はもちろん,普段の臨床を振り返り考える時間が作りやすいと考えております.本研修も,治療のことや経営のことなど様々考え,そして学ぶことができた充実した経験となりました.最後になりますが,上海でご同行させていただいたI.O.R.の先生方や今回の旅行をサポートしていただいたデンツプライシロナ㈱の皆様に心より感謝を申し上げます.これからもどうぞよろしくお願いいたします.


AO in L.A

狭山フォレスト歯科クリニック 森 洋一

Get Arrived Courseの実習中,竹下先生の「アメリカに行きたい人!」の問いに「行きたいです!」と即答した事に より始まった今回の渡米.
今回2018年2月28日から3 月4 日まで米国ロサンゼルスで行われたAO(Academy of Osseointegration)のAnnual meetingに参加させて頂きました.

参加において目的としたのは,I.O.R.の先生方の発表までの意気込みや準備,現地の雰囲気を知る事でした.また先生方はe-poster発表の準備で忙しくしているのに,自分は何もしないのが許せず,AOサイトにあるビデオ講義をAnnual Meeting までに毎日見ることを日常の課題にしました.
年始から講義のメモを取りながらヒアリングし,意味を理解する.ビデオ講義はひとつ30分から1 時間.英単語を調べ 理解しながら一つ見終わるのに4 時間から6 時間.作業は非常に難航し,結果全てを見ることはできませんでしたが,今 後も続けていきます.
L.A現地では,寺西邦彦先生のご用達のローリーズで集合.竹下先生,墨先生をはじめ沢山の日本の先生方にお会いでき て安心しました. 分厚いステーキを心行くまで堪能した後はホテルに戻り予演会.それぞれの先生方が,緊張されながら発表するのを拝見し,私も一緒に緊張しました.

翌日からの2日間は基調講演を見つつ,先生方のe-poster発表を応援させて頂きました.
今回I.O.R.からは6 名もの先生方が発表をしました.
先生方の発表は素晴らしく,発表を終えた後の先生方のほっとしつつも何かを成し遂げた顔を見たときは自分も嬉しく,日々臨床に臨みながらも研究を行い,ここに至るまでの先生方の様々な努力を考えると胸が熱くなりました.

初日の夜はリトルトーキョーでI.O.R.の皆さんと晩餐.2日目はマイクロスクエアでのビュッフェパーティに参加.入場するのに金属探知機を通させるのは,「さすがアメリカ」と思いました.
それぞれの晩餐では,先生方とプライベートの話から臨床の話まで多岐にわたり,有意義な時間を過ごせました.また寺西先生をはじめ日本の歯科医療を牽引する先生方にお会いでき,言葉をかけて頂いたことが,大変光栄でした.

今回I.O.R.の先生方の生き様を見せて頂き,自分が感じたのは,日常臨床で疑問に思った事を論文検索し,考え,意識化していく事をルーティンにしないといけない.そこから更に繋げ,疑問に思った事を自ら研究していく.そしてそこに至るには,日頃の自分を大きく変えていかないといけないと言う事でした.
これからもどうぞよろしくお願いします!


IOR 補綴コースを受講して

山口県 藤井歯科医院 藤井克行

平成27年11月29日、東京も冬の始まりを迎えるなか、タカラベルモントにて、IOR補綴コースが行われました。
私は今年の春、改めて、今までのインプラントに対する知識と技術を見つめ直す目的でGet Started Course を受講しました。それから、半年後、外科の術式もさることながら、補綴も長期予後には重要なファクターであることは間違いないと思われるため、今回の補綴コースで再確認と最新トピックスについて学ばせていただきました。

午前中、まず墨先生のセメント固定についての講義でした。IOR創設当初はダイレクトアバットメントを使用し、そのためにはフィクスチャーの正しい埋入方向が必要というのが基本的なスタンスだったようです。そのダイレクトアバットメントの利点や印象方法など、細かく動画を入れながらのお話でした。
次に、タイデザインについても、物性のことからトライインアバットメントによるアバットメントの選択、印象、表面処理など多岐にわたってのお話でした。その後、キャストデザインについてでは、テクニカルデータをしっかりと守ることや、技工サイドの注意点などお話されました。そして、アトランティスのお話では、デジタルの優位性、費用面、GPには関心のある技工料等など最新のお話でした。

次に、竹下先生の登場です。今度はスクリュー固定について、20°・45°・アングルドアバットメントそれぞれの適応症例、締結時のトルク値、印象時における注意点や、物性のお話など、細かくかつ分かりやすくお話しされていたのが印象的でした。私はあまりスクリューを選択しないため、とても勉強になると同時に、これから超高齢化社会におけるインプラント修復のあり方を考えさせられるお話でした。個人的にはお金が許せばコーヌスがいいかなと思いましたが…

午後からは、榊原先生の症例を見ながらの補綴設計に関するディスカッションでした。若い先生から経験豊富な先生たちそれぞれ、治療計画の違いや疑問点など熱いディスカッションでした。これまた、セメントかスクリューかのバトルが勃発。(笑)とにかく熱い。答えのない永遠のテーマに思えました。児玉先生もGBRについて熱くお話しされ、とても有意義な時間でした。

最後に、墨先生による、これからのアストラのお話でした。ご自身のお母様の症例をだされての興味深いお話でした。 今年からIORに参加させていただき、データに基づいた所や、豊富な症例があること、また、ざっくばらんな雰囲気がとても好きです。これからもIORに関わっていこうと思っております。


IOR 外科コースを受講して

愛知県一宮市 まごころ歯科  安藤 公敏

平成27年6月21日 タカラベルモント株式会社のセミナー室にてIOR外科コースを受講しました。
船木先生による外科の基本手技についての講義と実習から始まりました。

切開・縫合は外科の基本であり歯科医師の誰もが必要な技術ですが、改めて教えていただくと日々の臨床で深く考えること無く外科処置を行っていたことを痛感しました。セミナーの中で「そこにある上皮欠損をどう治すか」というテーマで様々な方法とその利点、欠点について学びました。その後、切開、アンダーマイニング、深層縫合、連続埋没縫合、縫縮方法、テルダーミスを用いたシンプルな治療法などの実習がありました。
理論に基づき、手羽先を用いて実際に手を動かして学ぶことで理解がしやすく、また体で習得することで外科治療を行う自信につながりました。さらに、骨を保存する抜歯法やアテロコラーゲン、β-TCP等を用いたソケットプリザベーションでインプラント治療をよりシンプルに行うことができる可能性を知ることができました。

後半は、児玉先生によるサイナスリフト同時埋入および上顎結節傾斜埋入の実習がありました。実習に先立ち解剖の講義があり、サイナスリフトを行うにあたり術部の解剖を十分に理解し事前にCT等で確認することが必須であることがわかりました。特にブラインドの部位で起こった出血を止めることがいかに困難で危険であることを、自身の体験も紹介しながら説明していただきました。
上顎結節への傾斜埋入実習では、模型上でも一部裂開するなど、高度かつ非常にリスクの高い治療法であるとわかりました。サイナスリフトの講義・実習および症例を学ぶことで、サイナスリフトを適切に行うことで無理な傾斜埋入に頼らない補綴主導型のインプラント治療が可能であると実感できました。

長時間ではありましたが、実習が多く組み込まれており、セミナーの時間はむしろ足りないと感じるほどでした。講師の先生方は、どの質問に対しても丁寧に誠実に答えていただき、受講生みなスッキリした気持ちでセミナーを終えることができました。
この機会をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。


第3回I.O.R.ベルギー&ユーロペリオ研修を終えて

自由が丘てづか歯科・矯正歯科勤務  岡田千のぶ

勤務先の院長の勧めで第17期Get Started Courseを受講、おさらいコース第7ピリオドもお世話になりました、岡田です。I.O.R.で多くの素晴らしい先生方との出逢いに恵まれ、最新の知見や熱い想いを拝聴するにつけ、自分の歯科医師としての位置づけや目指すものについても想いを深めてきました。
遅い目覚め、他力本願的な動機であったことは否めませんが、本研修に参加することでこれから見る世界が一層変わることを期待し大きな決意をしつつ・・・2015年5月31日、羽田を飛び立ったのでした。
恥ずかしながら海外研修も国際学会も初体験の私が、この度受講記を書かせて頂く運びとなりましたので、以下にご報告いたします。

ゲント着翌日から丸二日間、Hugo教授のもと中身の濃い研修が続きました。
研修初日:アストラテックインプラントシステムの説明に続きProf. Hugoによるライブオペ。術式順序のちょっとした工夫や、骨質や状況に応じた選択とその理由など、教科書はおろかハンズオンでも聞けないようなエッセンスを惜しみなく示してくださいました。モニタールームでも竹下先生を中心に熱心な議論が繰り広げられました。ハンズオン、Dr.ヤンの講義と続き、長い一日が終了。

研修二日目:午前はProf. Hugoの講義。国や文化の違いはあるが、特に下顎無歯顎でQOLの低下が著しい。患者さんの経済状況にもよるが、顎堤の吸収状態を正しく評価し、粘膜支持を確保のうえボールアタッチメントを適切に活用することで、IODによりQOLが上昇するとのことでした。
午後は4人の先生方のプレゼンと活発な討論。

榊原先生:対合歯の摩耗にジルコニアの表面性状が与える影響について。対合歯の摩耗にはジルコニアの硬さではなく表面の滑沢性と内部構造が関与する。その評価に摩擦係数を用いると従来の報告で50万回ほど繰り返していた試験は10?100回で結果予測が可能。そして鏡面研磨のジルコニアと研削したそれの摩擦係数を比較すると、ジルコニアの修復物に十分な研磨を施せば、対合天然歯の摩耗は極めて少ないと判断できる。

又吉先生:一般開業医と歯科矯正医の連携?インプラント治療を通して? 矯正とインプラントの併用が不可欠な症例の多くは矯正治療後にインプラント埋入を行うが、矯正医と密に早期連携しゴールを共有することで、インプラント埋入を先行させそれを固定源として矯正治療に活用し良好な結果を得た2症例の紹介。

北山先生:Current Status of Dental Prostheses for Edentulous Mouths and Advantages of Plate Denture Therapy 無歯顎補綴臨床において我々はもう一度総義歯を見直す時期に来ており、総義歯治療の診査・診断はインプラント補綴治療の羅針盤になる。真の意味の「生体に調和した義歯」の症例を動画で提示。さらに天然歯に近いインプラント治療に有用というNCFシステムとナビデントの紹介。

竹下先生:超高齢者社会のインプラント上部構造設計について~Auro gaivano crown(AGC)を用いた術者可撤式上部構造の有効性~ 要介護状態の口腔ケアを考慮すると、上部構造は固定性から可撤式への移行が理想だが、そのような状況での修正は難しい。術者可徹式の上部構造(コーヌス力を利用するAGC)を装着し術後5年が経過した多数歯欠損症例について検証したところ、本構造は口腔ケアが容易でインプラント周囲粘膜の炎症コントロール・上部構造の修理ともに容易なため多数歯欠損のインプラント補綴装置として有効と言える。

脳ミソがパンパンになりながらも夕刻からはProf. Hugoのご自宅にお招き頂き、素敵なお庭とシャンパンを堪能してベルギービールを楽しむバーへ。
酸味が強いベルギービールの、異文化を感じる味は一生忘れられません。

後半はロンドンに移動しユーロペリオ参加。私はポスター発表が形態も雰囲気も面白くて(内容の理解はさておき)時間を費やしました。
隙間時間を活用して観光も満喫しました。最終日は皆で絶景セブンシスターズへ。沢山の思い出ができました。

私にとって本研修のキーワードは、『本物』でした。研修がなければ行くこともなかったかもしれない地に赴き、生の声を聴くことができました。
すぐそこに居るのに手が届かないように感じた、国を超え自在に活躍する同胞に目を奪われた時間。ビール片手に夜な夜な耳を傾けた、ふだんは面白い仲間が熱く語るポリシーや日常の診療で感じている想い。自分の脚で訪れ肌で感じた名所旧跡、美術品・・・。すべてが本物でした。
『本物であれ!』と、何度も大きな力に喝を入れられているようでした!

今回の私はインプットメインでしたが、感じた想いは確かに『本物』でした。帰国後の日々の臨床も、自分自身のものごとの受け止め方にも、良い変化が起こりつつあります。これを近い将来アウトプットに換えてゆく決意です。

最後になりましたが、研修に際し、Hugo教授ならびにゲント大学の方々、ご一緒頂きました諸先生方、深くご配慮頂きましたI.O.R.の方々、そして我々を深く大きな懐で率い導いてくださった竹下先生、この研修に関わってくださった全ての方々に、心より感謝申し上げます。
ありがとうございました!


I.O.R. 外科・補綴コース(デジタルソリューション)を受講して

H27。3。29
千葉県我孫子市 クレアデンタルクリニック勤務 松永雅実

大学の先輩である竹下先生とのご縁があり、I.O.R.へ入会いたしました。
千葉県我孫子市のクレアデンタルクリニックで勤務医をしています松永と申します。
当医院ではアストラテック、ノーベルバイオケア、バイオメット3i の3社のインプラント・システムを使用しております。インプラント初心者であった私は、院長の勧めで初めてのケースにアストラテックを用いました。 Get Started Courseを受講し、基礎を学んだ後、Introduction Courseを受講しながら、現在やっと40本目のインプラント埋入に至っています。

今回のコースではまず墨先生によるアトランティスアバットメントの性状、利点、生体親和性の良さ などをとても解りやすく教えて頂きました。 どのコースでもおっしゃられるのが、「最終補綴物を考慮しての設計、フィクスチャー、アバットメントの選択、デザインが大切」ということです。

午後は児玉先生の講義から始まりました。デジタル化が進む現在、それらの最先端の技術を取り入れようと様々な勉強会へ参加していますが、 今回の児玉先生の言葉で一番気を引き締められたものが以下でした。

[諸刃の剣];外科手術は十分な視野を確保して、直視直達で進行するのが大原則である。  手術侵襲の低減などはあくまでも副次的効果に過ぎない。ガイドシステムの真の用途は<手術の精度を上げるもの>であり、経験の浅い術者を変身させる魔法のツールでは決してない。  様々な誤差発生の要因があり、思わぬ合併症が起こる可能性を考慮して術者自らがガイドをうまく操ることが重要である。  <コンピュータに頼りきった手術を決して行うべきでない>

その後シンプラントを用いて実際にサージカルガイドの設計、発注の仕方を初心者にも解りやすく丁寧に教えて頂き、実際のガイドと顎模型を使っての下顎前歯部への埋入実習を行いました。 先生方からとても優しくご指導いただき、今更ながら聞きづらい質問もたくさんしてしまいました(笑)。
最後の竹下先生の講義では、実際のオペの様々な症例のスライドや動画を交えてのお話でした。 朝からの講義のおさらいにもなり、頭の中でまとめることができました。

I.O.R.の先生方はとても親切丁寧で、未熟者の私たちにもフレンドリーに接していただき、いつも質問をしやすく有難く思っております。 毎回内容もバージョンアップしていき、そして他の勉強会にはあまり見られない失敗症例なども たくさん見せていただけるところが、大変勉強になります。
今回、実際に使用したサージカルガイドは各自持ち帰ることが出来ました。また、設計発注したアトランティスアバットメントが後日手元に届けられるそうで、とても楽しみです。

次回は外科コースでまた初心に戻り、切開、縫合を学び、サイナスリフトの実習を勉強しに行きたいと思います。 今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。
PS, 今回一つだけ残念だったこと・・・打ち上げがなかったこと、です(笑)


Academy of Osseointegration 30 th Anniversary Meeting in San Francisco に参加して

岐阜県 いとうデンタルクリニック 伊藤 智美

2015年3月12日~14日 カリフォルニア州サンフランシスコにてAcademy of Osseointegration 30 th Anniversary Meeting(AO)が開催されました。
わたしは、去年のシアトルに続き2度目のAO参加です。シアトルではジャパンセッションもあり、多くの先生方とご一緒でしたが、今年は少人数での参加となりました。
IORからは3名の先生が発表されました。

出発前日は3月というのに岐阜ではなんと雪!当日セントレアに向かう11日朝も道には雪が残り、渋滞にあいながら空港に到着しました。日付変更線を越え、同11日朝サンフランシスコ国際空港に到着すると、さすがカリフォルニア、日差しも強く暖かいじゃありませんか。小久保先生、榊原先生とともにホテルに向かい、チェックインも早々に早速会場へ下見に行きました。今回始めての発表となる小久保先生に早くも緊張が走ります。

12日学会初日は受付を済ませ、デンツプライのモーニングセッションに潜入しました。前歯部のインプラントにおける軟組織のマネージメントやオッセオスピードEV プロファイルを使った症例の紹介などがありました。 午後は明日の発表に備え、ポスター会場の下見です。ポスター会場は展示ブースの奥に設置されており、今年から始まったパソコンを使ったプレゼン形式で先生方が発表されており、とても盛況な状態でした。一足先に三宅先生の発表があり、外国の先生からの質問に一生懸命答える様子にエールを送りました。
その後、サンフランシスコではお約束のフィッシャーマンズワーフに移動し、窓からアルカトラズ島と遠くゴールデンゲートブリッジの見えるNEPTUNE’Sという店で牡蠣に舌鼓を打ちました。夜にはデンツプライ主催のパーティーがマリオットホテルマーキス最上階で開催されました。去年のシアトルでのパーティーとはひと味違って、素晴らしい夜景と落ち着いた雰囲気の中、多くの先生方が活発に交流をかわしておられました。国は違ってもインプラント治療に対する熱い想いは同じなんだと感動を覚えました。

2次会も終え、場所をホテルに移して明日のリハーサルが始まりました。トップバッターはなんといってもAOデビューとなる小久保先生です。かなり念入りに練習されていただけあって素晴らしいしあがりです。続いて墨先生、竹下先生、お二人とも慣れた様子でスムーズにリハーサルが進み、夜も更けて行きました。

学会2日目の13日、発表当日を迎えました。朝はゆっくり会場に向かい、午後からのポスター発表に備えます。
小久保先生は、The importance of good surgical field visibilityというタイトルで、術者、アシスタントともにサージカムをつけて動画を撮影し、アシスタント側からは術野が意外に見えていない事から、術野の見え方について術者とアシスタントがどのように工夫すればより見やすくなるかということについて分かりやすく考察されました。
竹下先生は、Suprastructure design for the aging population using Auro Galvano Crownsと題して、固定式のインプラント修復物は高齢になるとそのメインテナンスが難しくなることがある。そのような場合にはガルバノを応用したコーヌスタイプの修復物を使用するとよい、と発表されました。
墨先生は、A consideration of loading time of fluoride-modified surface Imprantsと題し、フッ化物加工したインプラントは6週間で純チタンインプラント12週と同じインテグレーション(ISQ値)を獲得すると述べられました。

今回からポスターの発表形式が変わったことから、現場での混乱はあったもののどの先生も興味深い内容で素晴らしい発表だったと思います。 その夜はベルギーのゲント大学のDr.Hugoとその仲間の先生方とともにすき焼きのお店NAbeへ。そこでも熱い会話をかわす先生方、素敵でした。

最終日となる14日は早朝にホテルを出発し、墨先生の運転でカリフォルニア州中東部、シェラネバダ山脈に広がる自然公園のヨセミテ国立公園に向かいました。ヨセミテ国立公園は、およそ1000万年前に山脈が隆起したのが始まりで、太古から流れる川の流れと相次ぐ氷河期の到来により急峻な渓谷が滑らかなU字谷と変わっていったもので、現在の形になったのがおよそ1万年前だそうです。
その話の時に、竹下先生が「おれら見てるの3年とか5年とかってみじけーな?」と言われたのがとても印象的でした。 また、見所も満載で、まずはトンネルビュー、世界3位の700mを超える高低差で流れ落ちるブライダルベール滝、世界最大の一枚岩エルキャピタン、巨大な岸壁ハーフドームなど、どれも自然の大きさに圧倒され息をのむ連続でした。 新鮮な空気を思う存分堪能しすっかりリフレッシュした後、再び墨先生運転の車で岐路に着いた一行は、最後の夜にふさわしく?行列のできるサンフランシスコのダウンタウン、ユニオンスクエアにほど近い大阪うどんの『堂島庵』に。ここはうどんだけでなく、トンカツ定食やカレーなどもおいてある人気店で、みなさんしっかり定食を美味しい美味しいと食べておられました。

墨先生、竹下先生はその日の深夜便で帰国され、16日月曜日の早朝成田着、その日の診療をこなされたようです。お二人のバイタリティーに改めて脱帽いたしました。

今回、去年のシアトルと違い少人数での参加となり、ご一緒させていただいた先生方と色々お話する機会を得ることができました。その中でどの先生も一開業医として日々の診療を頑張られながら、それだけでは飽き足らずこのような場で発表されたり、他にも海外の研修に行かれたり、はたまたIORでも全国各地でご講演などされています。
その飽くなき探究心とバイタリティーにかなり触発されますし、少しでも追いつけたらと心から感じました。
このような機会をいただいたことに心より感謝申し上げます。
また、この場をお借りして、学会期間中もヨセミテ国立公園のような遠い場所までもいつも運転していただいた墨先生とご一緒させていただいた竹下先生、小久保先生、榊原先生に多大な感謝を申し上げます。ありがとうございました。


I.O.R. 福岡コースを受講して

熊本県 たけうち歯科医院 竹内清信

平成27年1月25日、福岡県福岡市、アクロス福岡にて今年最初のI.O.R.福岡コース(骨造成テクニック基礎から 応用まで学ぼう)に参加させて頂きました。

午前の部は東北大学顎顔面口腔外科学分野 高橋哲教授の講義から始まり、骨造成の術式の種類、 造骨後の骨のリモデリングの病理学的様相、各種骨移植材料の生物学的特徴等を学びました。その後、豚の顎骨を用いた実習となり、ピエゾサージェリーを使用したブロック骨移植、チタンメッシュによるGBRを行いました。
実習を通して、持針器の持ち方、縫合の順番等外科手技の基本になる事まで、事細かに御指導して頂き、またピエゾサージェリーやチタンメッシュを直接手に触れる事で少しでも実際のオペに感覚的に近づく事ができた大変貴重な経験をさせて頂きました。

午後からは、児玉先生のサイナスリフトの講義後、模型を用いた実習指導を受けました。
児玉先生の講義は、以前何度か拝聴させて頂いた事があるんですが、口腔外科医としての視点から、サイナスリフトのみならず、私達の身近な臨床で起こり得る外科手技による偶発症をはじめ、実際の経験談から学ばれた対処法まで丁寧にかつわかりやすく講義されるため、毎回大変勉強になります。

実習では、左右異なる上顎既存骨の骨幅や上顎洞粘膜が模型上に形作られており、高橋教授・児玉先生指導の下 ウインドウの形成の位置や仕方、上顎洞粘膜剥離の要点等手とり足とり教えて頂きました。
実際のオペになると、模型上との口腔内とでは全く違ってくる事は承知していますが、模型上で行う一つ一つの手技の積み重ねが、臨床に生きてくるものだと思いますので無駄にはできません。

開業して間もない私にとって、骨造成は難易度の高い手技の一つではありますが、インプラント治療を今後行っていく中で避けては通れない外科的分野であります。
このコースの受講を期に、高橋教授・児玉先生から学んだ事を忘れず、少しずつではありますが、私の臨床のエッセンスとして加えていきたいと思います。

最後に、度々I.O.R.のコースを受講させて頂き、毎回、受講生と同じ目線で、そして同じ感性で接し、御指導して頂けるインストラクターの先生方に今一度感謝申し上げます。
今後ともどうかよろしくお願い致します。


I.O.Rおさらいコースを受講して

州央歯科 勤務 岡本志保

平成26年6月~11月の半年間、計6回に渡りI.O.Rおさらいコースを受講させていただきました。
私は墨先生のGSコースを受講していましたので当時勤務していましたトム歯科クリニックの光田先生に相談させて頂いたところ、おさらいコースを薦めていただいたので今回参加することを決めました。

おさらいコース第一日目はGSコースで習った知識の復習、X線読影、埋入手術の計画、そしてシンプラントの操作活用方法を学びました。
X線写真は私たち歯科医師がほぼ毎日目にするものですが、その日々の診療でより多くの情報がそこには含まれているという事を再確認しました。
また、埋入手術に関するルール内容を非常に分かりやすくシンプルに教えて頂きました。
シンプラント実習では実際色々自分たちでマウスを動かして診査診断するデモも行いましたので難しいものだと思い込んでいた私にも比較的容易く操作する事ができました。

二日目は術前の手術計画、患者さんからの質問に対する応答、オペ前のルールを詳しくお話して頂きました。私が今まで受講してきた研修の多くは術式やテクニカルの面を重点に置いた内容が多く、対患者さんとの会話、インフォームドコンセントをここまで詳しくしっかり教えてもらえる機会は少なかったように 思います。しかし、今回の研修では患者さんの心理、術前の心構え等も学べましたので大変有難いなと思いました。

三日目は手術環境、外科器具の詳細な使用方法と説明、そして3本のインプラント埋入実習を行いました。 実習では実際に模型に埋入してドリルの手順、特性、埋入方向、オペ時のポジショニングの確認を習いました。

四日目は10本埋入実習で三日目に習ったポジショニング、埋入方向、ドリリングの手順を確認しながらおこないました。
ここでは、三日目にまだあやふやだったドリリングの手順や埋入方向がすこしずつ明確になり自然に体で覚えていくという感覚がありました。
実際、模型上で実習を行うと埋入方向がいかに難しいかということもよく理解できましたし術者側から見てうまく埋入できたと感じても実際立って色んな方向から確認すると、思っていた以上に頬側に埋入位置がズレていたりと随分多くの発見が出来たと思います。

五日目は補綴コースに参加し竹下先生と墨先生のアバットメントについての考察をお話し頂き、ここでも実際どのようにアトランティスアバットメントを設計して作製されてくるのかを実習を通して分かりやすく講義して頂きました。また、おさらいコース以外の先生方も多く参加されていましたので質疑応答なども勉強になりました。

六日目は竹下先生によるライブオペを見学させて頂き患者さんとの会話、オペ室の雰囲気、アシストの動き、オペの流れなど机上の勉強とは違い実際に自分の目で見るという研修内容で大変有意義な時間となりました。

私が六日間おさらいコースを通して何を一番学べたのかと考えましたところ、人(患者)が日々咬むという行為に何らストレスを感じず生活できる、のを助けるのが"治療"なのかなという発見です。今この時点でこの発見は恥ずかしいですがインプラントのおさらいコースでは有りましたが私にとっては治療全てのおさらいコースだったような気がします。
スライドの中で竹下先生が保険のクラウンでも長年、何の問題も無く咬む事が出来るならそれは医療であり幸せな事とお話されていた事が心に残りました。

患者さんへの生活の手助けの手段の一つにインプラントが活用されて行くように未熟な私には山積みな課題が有りますが少しでも前進して精進して行こうと思います。研修を受けるといつも思う事ですが先人の先生方は多くの臨床経験を積み、沢山の苦労をされていつの時代も治療の流れを作って下さり、その流れに私はいとも簡単に乗り楽をさせて頂いています、今回の研修でも竹下先生をはじめ、I.O.Rの講師の先生方に深く感謝致します。
また一緒に受講した先生方、デンツプライ、I.O.R事務局の皆様にも感謝申し上げます。


2014年IOR補綴コース受講記

ともよせ歯科医院 友寄泰樹

 2014年10月26日(日)、タカラベルモント東京本社研修室にて、IOR補綴コースに参加してきました。今回のコースのタイトルは、インプラント補綴をじっくり考える ~粘膜貫通部を甘く考えず、永続性あるインプラント補綴を目指そう~ ~Atlantis Abutmentは何を可能にするのか?~ でした。タイトルとプログラムからある程度予測はしていましたが、本当に盛りだくさんの内容でした。

 前半は、まず竹下先生の講演から始まりました。しっかりと咀嚼でき、永く持つインプラント補綴を目指すということで、豊富な臨床経験から、長期経過症例やインプラント周囲炎、破折症例、AGCの症例などの提示がありました。その中で、2次手術やプロビ、最終補綴におけるアバットメント選択や印象、咬合採得、セット時のセメントなど基本的なことから、文献的な考察、スクリュー固定が増えている流れなども含めて詳細に解説していただきました。日常の臨床につながる内容が多く、大変参考になりました。

 竹下先生の次は墨先生の講演でした。まず、金合金アバットメントの問題点や、ジルコニアの性質、従来のジルコニアアバットメントの問題点などの説明がありました。その上で、「CAD/CAMは仕事を正確にするために用いる」というメッセージのもと、Atlantis Abutmentの有効性、従来のジルコニアアバットメントとの違い、カスタムインプレッションコーピングを使用した印象、具体的な粘膜貫通部の設計、オーダーなどについて詳細に解説していただきました。また、AOでBest Presentation Awardを受賞し、PRDに掲載された「Gingiva-Colored Abutments」についての解説もありました。

 講演の後は、おそらく日本で初となるAtlantis Abutmentの具体的な設計、オーダーについての実習がありました。歯科医師と技工士の組み合わせで4~5人のグループを作り、各グループにノートPC 1台が配置され、墨先生の実際の患者の設計、オーダーを用いて実習が行われました。初めてということでスムーズにいかない部分もありましたが、技工士と話し合いながら、Aadva CAD/CAMシステムとの違いも含めて、いろいろ学ぶことがありました。

 インプラントの補綴コースに参加するのは久しぶりでしたが、超高齢化社会、インプラント周囲炎の増加などについて不安を感じていた私にとって、有意義な時間を過ごすことができました。立場上、あまりIORの活動に参加できていませんが、できる限り沖縄から飛び出して、みなさんと交流し、知識を深めていきたいと考えております。今後ともよろしくお願いいたします。


Academy of Osseointegration 29th annual meeting in SEATTLE に参加して

愛知県 かよ歯科クリニック 小久保賀代

2014年3月6日~8日 シアトルにて Academy of Osseointegration 29th annual meeting (AO) が開催されました。I.O.R.からは6名の先生が発表されることとジャパンセッションもあるとのことで、まだまだ未熟な私ですが思い切って日本を飛び出し"世界をみてみよー!!"と思い参加を決意しました。

3泊5日のハードスケジュールです。私にとっては初めての海外の学会参加。。。

6日朝10時頃シアトル・タコマ国際空港に到着。天気はあいにくのどんより曇り空。
学会自体はすでにスタートしており早速着替えて会場に向かいました。

受付を済ませ、まずは各メーカーの展示ブースを覗いてからメイン会場に潜入です。広い会場の後ろでは日本語の同時通訳のイヤフォンが配られておりました。初日は学会の雰囲気を確かめながら・・・夜はデンツプライ主催のパーティーに参加しました。日本では考えられないエンターテイメント!生バンドがありI.O.R.のメンバーも踊りまくっていたようです。

学会2日目。いよいよ我らI.O.R.の登場です。
インターナショナルシンポジウムで登壇された墨先生は、ご自身や他のIORメンバーの研究を絡めながら、オリジナリティ溢れるアバットメント論を述べられました。金合金やジルコニア、チタンなど、その材質の持つ特性や問題点に触れながら、現時点で最も優れたアバットメント素材はチタンであるという持論。さらに審美的考慮から、昨年AOで最優秀アワードを受賞されたアバットメントの陽極酸化処理についてのお話。私は何度かこの話を聞く機会がありましたが、他のI.O.R.メンバーの研究の裏づけがあったからこそ、この結果生まれたものなのだと実感しました。

午後からは墨先生に続けとばかりに榊原先生の登場です。
榊原先生は、天然歯やインプラントの上部構造として応用されているジルコニアについて。多くの臨床家はエナメル質に対してジルコニアは硬さゆえの、対合歯の摩耗を危惧しています。対合歯の摩耗の主たる要因は硬さよりも微細構造であるとともに、表面粗さであるとの報告のもと、新鮮抜去歯と3種のジルコニアおよび他3種の歯科用セラミック材料との摩擦係数を評価し、対合歯の摩耗の検討を行い発表されました。ジルコニアについてはまだまだ不明な点が多いのだと思いました。I.O.R.メンバーと名古屋のインプラントを考える会からも参加された先生方に見守られながら無事に発表を終えられた後の笑顔が忘れられません。

ポスター発表では、
竹下先生は、アバットメントの不適合がインプラント体に与える影響について発表されました。特に鋳接タイプのアバットメントは注意が必要で、オーバーフローやコニカル面に触れることには十分な注意が必要とのことでした。 寺田先生は、CAD/CAMシステムを利用したインプラント上部構造の臨床的検討として、自院のCERAECシステムで、e-max CADブロックを上部構造に使用した3年以上の経過報告と、脱離・破折の原因の考察を発表されました。 児玉先生は、骨移植なしのサイナスフロアエレベーションにおける臨床的検討を発表されました。従来のサイナスリフトは骨移植する場合が多いが、骨補填材に術後感染などのリスクがあるので、骨移植なしでサイナスリフトを行い、さらに骨移植しなかった場合と、骨移植した場合において術後合併症についての比較検討も発表されました。

2日目の夜はボーイングミュージアムを貸し切ってのAO主催のパーティーでした!スケールの大きさに驚きました。広いはずの会場もヒト人ひとで埋め尽くされて盛大なパーティーでした。パーティーをちょっと早く抜け出して、日本料理屋に向かいました。そこでは寺西邦彦先生をはじめとする赤坂会の先生方や、金城清一郎先生、墨先生と同じインターナショナルシンポジウムでお話された愛知医科大学病院の准教授の山田陽一先生、名古屋のインプラントを考える会のみんなと一緒にお酒を飲み交わしながら今回のAOの反省会?をしました。

私自身はここで多くの先生方と出会いました。実は、はじめに今回のAO参加の誘いを受けてお断りしました。本当はナショナルシンポジウムも日本語でメイン会場では日本語の同時通訳も入るとのことで興味を持っていました。しかし私のような経験の浅い人間が参加しても意味などないと伝えました。

"そんなこと言っているようなヤツは一生行けない!講習会、講習会と言っているより100倍いい!出来ないことや分からないことを知ることも大切!"

返す言葉がありませんでした。私は行くことを決意しました。
そして今回私なりの課題も見つかりました。課題を与えられたのかもしれませんが・・・笑
とにかくやってみればいい・・・と、多くの先生から助言をいただきました。よしっ、やってやるぞっ!と、いう気持ちになりました。ひとつの収穫です。

学会3日目ラストです。
神保先生は、日本人における単独歯抜歯即時埋入と即時プロビジョナル装着症例の21本を検証したことを発表されました。上部構造装着時と1年半後の骨のライン・プロービング・WES・PESとOHIP(患者満足度)を評価されました。また埋入からアバットメント締結までのISQ値を評価し、日本人は歯肉が薄くリセッションしやすいがOSの25N以下の埋入で補えるということを話されました。

連日連夜の疲労から午前中はゆっくり学会会場の展示ブースで各々物色です。午後からは少しだけ観光です。大雨の中ダウンタウンで観光といっても行ったのはスターバックス1号店と数々の賞を獲得したチョコレート店フランズで買い物をした後はパイク・プレイス・マーケットという港の市場をブラブラしてホテルに戻りました。

最終日の夜はオイスターバーでI.O.R.メンバーの打ち上げをしました。そこではなぜか私の課題が話題となりました。話が盛り上がるなか、ある先生が何度かさらりと"仲間なんだから~""仲間に~"と言って下さいました。私は今まで仲間とか居ないと思っていたし、今回シアトルで出会ったばかりの先生にそう言っていただけて心が揺さぶられました。気づかないうちに仲間がいて助けてもらっていたんだと実感しました。それだけでも今回参加した意味があったと思います。

その後はホテルのバーでインプラントを考える会のみんなとも合流してインプラントについて熱い論議が交わされました。熱すぎる二つのグループに所属している自分が幸せだなと思っています。あっという間の3日間でした。はっきり言って学会の内容なんて残ってないかもしれませんが、夜な夜なお酒を飲み交わしながらのディスカッションは学会ならではの醍醐味だと思います。次回のAOはサンフランシスコで開催されます。さらに多くの仲間が参加・発表できるとステキだなと思います。このようなすばらしい機会をくださった皆様に感謝します。ありがとうございました。

学会参加記はこちら >>


IOR Bone Augmentation courseを受講して

山下 徹

平成26年3月16日

午前は、切開、縫合、ソケットプリザーベーションについて御講義いただき、その後手羽先、模型を用いての実習となりました。手羽先の皮膚、筋肉は非常に柔らかく、メス、針糸、ピンセットは、それぞれデリケートな操作が要求され、とても良いトレーニングになりました。
又、形成外科で用いられるテクニック等も実習させていただき、スキルの幅が広がりました。抜歯窩の骨高さをいかに保つか、ボーンオグメンテーションの際の粘膜の処理をどうするかという問題に、色々な対処法を教えていただきました。

午後は、サイナスリフト、ショートインプラント、傾斜埋入の御講義、実習指導していただきました。実際にご経験された偶発症に基づく、文献、解剖、マテリアル、手技についての臨場感のあるお話でした。
実習の模型は、骨幅、高さのシビアな症例がリアルに再現されており、ウインドウの形成、上顎洞粘膜剥離、ドリリングテクニックを、インスツルメンツの持ち方にはじまり、動き、目線、おかしやすい過ちに至るまで細かくご指導いただきました。

IORのセミナーは、毎回内容がバージョンアップされており、何回受講しても毎回新鮮です。


I.O.R. 福岡コース2013 受講記

熊本県勤務医 竹下 修二

年の瀬が押し迫って参りましたが、メンバーの先生方お元気でお過ごしでしょうか。
ゲント研修に参加された先生方、お疲れ様でした。先生方がアップされるべルギーの美しい風景を楽しみに見ておりました。

さて、去る平成25年10月27日、福岡朝日ビルディングにてI.O.R.福岡コース2013を受講しました。
受講記、或は備忘録になろうかと思いますがお目を通していただくと幸いです。
竹下賢仁先生には審美領域を、児玉崇先生には上顎洞挙上術の御講義をいただきました。

先ずは、竹下先生のセクションから。
インプラント治療に関わらず、抜歯後の上顎前歯部に於ける骨吸収は日常臨床でも頭を悩ませる現象の一つです。 本日の受講で己が行った治療後の治癒機転をイメージしておけば対策をこうじる事も可能であろうと考えました。 ポイントとして、以下の点が記憶に残りましたので記します。
抜歯時、インプラント埋入時、歯頚部の辺縁歯槽骨・歯周組織はなるべくキープする。
特に慎重に外科が巧く行かなくて補綴でなんとかしようとするのは困難である。
すでに欠損している場合は、薄い骨である事が予想されるのでしっかり腰をいれて脇をしめてドリリングすること。
抜歯後歯槽骨の吸収は水平的には3~5mm、垂直的には1mm程度あること。
中切歯の歯槽骨の厚みは0.63mmという事を記憶しておく必要がある。
唇側のバルコニーを増やすこと(可動粘膜を非可動粘膜にモデルチェンジする事によって)は、リセッションを防ぐ事に繋がる。

即時埋入の治療基準
1、著しい根尖病巣がある場合は抜歯即時埋入を行わない。→ソケットプリザベーション を行う。
2、埋入手術は、フラップレスで行う。
3、喫煙者には行わない
4、抜歯時に唇側歯槽骨を喪失した場合。→ソケットプリザベーションを行う。
5、唇側には必ず骨造成を行う。(行田メソッド。日本人の骨造成は4mmを目指そう。)
6、低トルク埋入を行い、DA装着(プロビジョナルレストレーションに使用するため。)
7、良好な初期固定(25N)を得られれば、暫間補綴物を装着。
8、プロビジョナルレストレーションは、ノー・ファンクション。

手術時の軟組織のシーリングはしっかりとする。
ギャップに対しては、1ミリ以下であればオッセオスピードでカバー出来る。
1ミリ以上はβ-TCPを補填材として使用する。

続いてのセクションは、児玉崇先生。
埋入する位置の前方から開洞するとし易い。
術前に見られる上顎洞内の炎症について
 肥厚型 マクロライド系抗生剤の投与
 充実型 ラウンドバーで抜いて、洞洗浄
 解剖学的に重要な血管系として後上歯槽動脈があります。
以前の児玉先生の講演でも触れておられました。歯槽骨骨折からの異常出血が起こりうる為、上顎8番は決して遠心方向へ倒す抜歯はしなくなりました。気づきをいただいて感謝しております。

切開は、15番メスを用い立てずに腹で切る。これは基本でしょうがきっちり押さえていきたいと思います。I.O.R.ではこういった手技の細かい所も示していただけるので非常に為になります。
自家骨の採取部分として、これまではオトガイ部から採取する方法が挙げられていたがオトガイ神経麻痺のリスクがあるとして臼後部外斜線から骨採取する方法を推奨されました。但し皮質骨に富み、海綿骨はあまり採取できないだろうということは念頭にいれて於きたいと思います。
βーTCP自体は、骨伝導能はない。粒子の外周にハイドロキシアパタイトが付着しそこから破骨細胞の遊走が初まる事。

サイナスリフトに関わる偶発症への対処として裂開した場合の指針は
シュナイダー膜の裂開2~3ミリ、メンブレン
インプラント直上でなければ。3ヶ月待機。
5ミリ以上裂開は縫合。巧く行かない場合は閉窓し3ヶ月後再びアプローチ。

感染せしめた場合の治療指針は
感染源除去し、ドレーンで排膿せしめる。
最期に、児玉先生の臨床テーマである骨を移植しないサイナスリフトについて講義いただきました。
グラフトレスする理由として、骨補填材の吸収不全、骨補填材による感染リスク。
自家骨を採取する侵襲によるリスクを回避するためとされています。
新しい潮流だと思います。今後の臨床経過を拝聴したいと思います。
また講義の合間に、実習もあり。
フラップレスの埋入を経験しましたが、埋入位置決めは難しく骨窓の縫合という全く未知の手技も、これも経験とやってみました難しくありましたが非常に楽しい実習でした。個人的には、実習はいつも楽しみにしています。

今回は、偶然にも福岡で勤務していた時の恩師も受講されていたり、同僚の新谷先生が会員になってくださり、ともに学べる歓びを感じる時間となりました。
来年も様々な企画があるようで、なるべく参加、受講したいと思います。



IOR 審美領域のアプローチを受講して

愛知県 とむ歯科クリニック 柴田玲生

H25/10/6 審美領域のアプローチを受講させていただきました。インプラント経験がほとんどない私にとって、審美領域のインプラントはアドバンスでまだまだ先の話だと感じておりますが、知識だけでも貯えておき、治療計画の1オプションとして提示できるようにしたいと思い参加しました。

まず午前中はDr。竹下とDr。墨の講義を受けました。
前歯部のインプラントが臼歯部より難しいのはやはり見えるということ、日本人の歯肉は軟組織が薄くリセッションしやすいということが問題ということでした。竹下先生の講義ではCTGで軟組織を増やした症例、歯肉の厚い症例、抜歯即時症例、ソケットプリザベーション後の埋入症例、連続埋入での乳頭形成など長期経過での変化とその考察、治療のエビデンスを拝聴させていただきました。前歯部でのインプラント埋入経験はないので実感としてはわかりませんでしたが、口腔内写真には治療の変化がすごくよく捕えられていて、やはり自分の治療の変化をとらえるのに口腔内写真は必須だと感じました。そして、埋入ポジションと深さ、補綴の立ち上がり、唇側骨の吸収を見越しての増骨など非常にわかりやすく教えていただきました。
また、即時埋入の竹下先生のクライテリアを示していただきました。

① 著しい根尖病巣が存在する歯はソケットプリザベーションを行う。
② 埋入手術はフラップレスで行う。
③ 喫煙者には行わない。
④ 抜歯時に唇側歯頸部を失った場合はソケットプリザベーション。
⑤ 唇側には必ず骨造成を行う。
⑥ 低トルク埋入+DA装着。
⑦ 良好な初期固定を獲得できれば暫間補綴物を装着。
⑧ プロビジョナルはNon function

唇側に骨を残すこと、減らさないように工夫する事が一にも二にも大事だと感じました。
午前の2部は墨先生の講義でした。インプラントと天然歯の周囲組織の違い、違うために補綴形態をどう考えるのか?インプラント粘膜炎が起きたとき歯肉の処置だけで治るのか?プロービングはどこを測っているのか?
これらを考えると補綴形態の立ち上がりはとにかくレスにすること、血液供給、プラークの付着等を考えた補綴が大事だと感じまし た。

アバットメントでは金合金のプラークの付着しやすさ、ジルコニアの摩耗性からアバットメントはチタンがいいという結論が出されました。ただし、チタンでは金属色が唇側歯肉を暗くする審美的問題があるということ。その対処はAOでアワードを受賞されたアバットメントの陽極酸化処理でチタンアバットメントに色(歯肉色)をつけることで解決されるということでした。正直、聞いていればなるほどと思いましたが、自分だったら全く思いつかないだろうと思いました。IOR講師陣は本当にすごい先生たちです。

午後は実習を行いました。前歯部埋入後の即日(もしくは翌日)テックを作る実習です。
補綴物の立ち上がりを考えて埋入し、レスカウンターでテック作成するという実習でした。私は埋入位置を口蓋側に置きすぎとんでもない形のテックになってしまいました。実習でよかった(汗)
本番ではこうならないように気が引き締まりました。が、なってしまった時のフォローの仕方も考えられてよかったです。

盛りだくさんでしたが、楽しい1日でした。
竹下先生、墨先生をはじめ準備をして下さった皆様ありがとうございました。



ゲント大学研修に参加して

かどすみ歯科 廉隅隆弘

インプラント治療の研鑽を積んでいる、I.O.R.で企画した海外研修に参加し、学ぶ機会を得たのでご報告いたします。 今回は約12時間のフライトでパリを経由し鉄路でベルギーに入り、ゲント大学歯周病学教授のHugo De Bruynの元を訪れました。
本研修では、事前に参加者に課題が出ておりました。 初診時の情報から治療計画を練り、それを基にディスカッションをしました。 どれも難症例で、とても少ない情報のなかで計画することを求められました。
患者さんの疾病の背景や生活環境なども、深く推理する必要があり、日頃見落としがちな些細なことを考察し、様々な答えの中から、最も適した治療法について検討する機会を得ることが出来ました。

開業医から大学教授の道に進まれたDr.Hugoは、綿密なリサーチとエビデンスに基づいた計画により、結果をもたらす努力を惜しまない、きわめて優れた、かつ人間的な科学者でありました。
スカンジナビアペリオをベースに、組織の治癒と再生を妨げない彼の治療は、衝撃的でした。同時に、日々の臨床で迷っていた部分を解決に導くきっかけをくれました。 また、インプラントにおけるガイデットサージェリーについての最新の情報には、一同驚きをもって聞き入りました。
そして夜は、時間を忘れ、気さくに酒を酌み交わしてくれました。一緒に参加した主宰の竹下先生やIORの仲間との臨床談義もまた、貴重なものでした。

4日間の濃密な研修はまたたく間に最終日を迎えてしまいました。 美しいゲントの街並みやヒューゴをはじめとするゲント大学の方々、スウェーデンから駆けつけてくれた神保、内藤両先生、IORの仲間との時間が懐かしく感じます。

貴重な経験を得る機会を作って頂いた、すべての方に感謝申し上げます。
帰国後、また忙しい日常に戻りました。
ただ、確実にこれまでと違う手ごたえを感じながら取り組んでいます。